第100回箱根駅伝(来年1月2、3日)で昨年12位から上位を狙う明治大(明大)が17日、都内で練習を公開した。予選会を2位で突破したチームのエントリーメンバーに入った馬場勇一郎(4年)は、800メートルの中学記録保持者。中距離ランナーの異例の挑戦で、8月に就任した山本豪監督の“翻訳者”としても貢献する。

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箱根のエントリーメンバーに登録できるのは16人。明大入学から今夏まで、1500メートルが主戦だった馬場は「正直(メンバーに)入れるとは」と本音を明かし「走る以外にも貢献できることがあると思って」とこの5カ月間を振り返った。

中学3年時に800メートルで33年ぶりとなる中学記録を樹立。今も「記録保持者」の肩書を持つが伸び悩んだ。陸上人生をかけた中距離での闘いを7月の愛知選手権で終えると、時期を同じくして、熱い指導を受けてきた山本豪副監督が駅伝監督に就任した。「皆で1つの目標に頑張れるのは学生時代だけだぞ」。そんな恩師の声に促され、異例の箱根挑戦を決めた。

期すこともあった。「豪さんの指導方法を伝えられるのは自分」。8月の合宿から“翻訳者”を意識した。さらに「今まで中距離やってた選手が走ってるところ見たら、『自分も頑張らないといけないな』って思ってくれるかなと」。チームがシーズン途中の指揮官交代で古豪復活を模索する中、役割を自認した。

陸上部内ではトップ選手も、駅伝メンバーの序列では「一番下になった」。練習でも、最長はこれまで20キロだったが、30キロも日常に。8、9月は「10キロの差で本当にきつい。辞めたくてしょうがなかった」。そんな思いも乗り切り、16人のメンバーに入った。

本番は山下りの6区を見据える。「中学記録も出してきましたが、今ピリピリ感もある中で過ごせている。この1カ月は、今までの競技人生の中で一番頑張れているし、一番楽しいな」。チームにもたらした影響は計り知れない。そんな5カ月間の挑戦の終着点が近づく。【阿部健吾】

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