<陸上:全日本実業団対抗>◇初日◇23日◇徳島県鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアム

 陸上競技の全日本実業団対抗選手権が9月23日に鳴門市で開幕した。大会初日は男女の1万メートルが行われ、男子は先月の世界陸上1万メートルで9位と好走したポール・タヌイ(20=九電工、ケニア)が27分37秒67で2連勝、深津卓也(23=旭化成)が28分01秒31で日本選手トップの8位だった。女子は西原加純(22=ヤマダ電機)が32分17秒59で初優勝を飾った。

 西原が新人らしからぬ走りを見せた。有力選手の欠場も多かったが、スタートから先頭に立ち積極的にレースを引っ張った。先頭を譲ったのは5300メートル付近。「風が思ったよりきつくて前半もしんどかったのですが、1回後ろに下がったら楽になりました」。7000メートル手前で再度トップに立つと、集団は西原と中村仁美(24=パナソニック)の2人だけに。9000メートルで再度スパートして中村を振り切った。

 西原は仏教大3年生だった2009年に、学生の世界大会であるユニバーシアード1万メートルに優勝した期待の選手。昨年は全日本大学女子駅伝でも3区で区間新をマークしてチームの2連勝に貢献した。だが、今年は1~3月に故障で走れなかったことが影響してシーズン前半は調子が上がらなかった。その間に大学の後輩の吉本ひかり(21=仏教大)が世界陸上代表になる活躍を見せた。「吉本とはいつも一緒に練習している仲。悔しさも感じましたが、彼女が世界に行くことで自分も世界を身近に感じられました」。

 今回、2年前の自己記録を約12秒更新したが、大会直前に首筋のリンパが変調をきたして完全な調子ではなかった。本人も記録短縮の手応えは十分のようで「今季は万メートル出場の予定はありませんが、来春にはオリンピックの標準記録を狙いたい」と意欲的だった。