彩の国実業団駅伝が11月3日、埼玉県熊谷スポーツ文化公園陸上競技場をフィニッシュ地点に開催される。男子は埼玉県庁をスタートする7区間77・5キロで行われ、元旦のニューイヤー駅伝の東日本予選会を兼ねる。上位12チームが全日本大会であるニューイヤー駅伝に出場できる。

 女子はさいたま新都心駅をスタートする6区間42・195キロで行われ、12月の全日本実業団対抗女子駅伝の東日本予選でもある。12位までが全日本大会に出場できるが、エントリーが12チームだったため完走すれば全日本大会に駒を進められる。

 柏原竜二(23=富士通)が実業団駅伝に初登場する。箱根駅伝では5区の山登りで4年連続区間賞と圧倒的な強さを見せ、母校東洋大を3回の優勝に導いた。“山の神”と世間やメディアは賞賛するが、本人は「山しか走れないようで好きではない」とつねづね語っている。大学1、2年時に世界ジュニアやユニバーシアードの1万メートルで入賞し、昨年の全日本大学駅伝は8区で区間賞と平地でも頑張ってきた自負があった。

 だが、今年6月の日本選手権1万メートルは14位で、目標としたロンドン五輪代表入りはできなかった。9月の全日本実業団は日本人4位と好走したが、同1位の宮脇千博(21=トヨタ自動車)には40秒差をつけられた。

 今駅伝の出場は最長区間の2区(15・3キロ)か中盤の要の4区(9・9キロ)が濃厚。ロンドン五輪代表の佐藤悠基(25=日清食品グループ)や、コニカミノルタのエースの宇賀地強(25)と走ったときにどこまで迫ることができるか。

 柏原は「最初から何も考えずに全力で走って、ワクワクできるようなレースにしたい」と富士通サイトで抱負を語っている。“山の神”を卒業する第一歩にしたいところだ。

 男子の優勝争いは2連覇を狙う日清食品グループが本命。佐藤のほかでは昨年、東京電力の廃部で移籍してきた若松儀裕(25)が日本選手権5000メートル3位と成長した。小野裕幸(26)や北村聡(26)、座間紅祢(27)と実績ある選手が脇を固める布陣はすきがない。

 昨年2位のコニカミノルタは宇賀地に加え松宮隆行(32)が安定している。昨年3位のカネボウは清水大輔(30)や木原真佐人(26)らスピードランナーが多い。例年ニューイヤー駅伝にピンポイントで合わせる富士通も、「今年は優勝を狙う」(福嶋正監督)と意気込んでいる。

 女子は昨年の今大会、全日本大会と優勝した第一生命が連覇を狙う。昨年のテグ世界陸上マラソン代表の野尻あずさ(30)がチームを離れ、ロンドン五輪マラソン代表の尾崎好美(31)も今回は出場しない。だが、元々駅伝のエースは勝又美咲(26)であり、田中智美(24)が世界ハーフマラソンで8位に入賞するなど新戦力も台頭している。選手層の厚さは今季も一番だ。

 昨年2~4位の積水化学、ユニバーサルエンターテインメント、パナソニックはエース区間では第一生命と同等以上の走りができる。ユニバーサルエンターテインメントはロンドン五輪1万メートル9位の新谷仁美(24)、パナソニックは日本選手権1万メートル優勝の吉川美香(28)がチームを引っ張る。エースがつくった流れに乗ることができれば、第一生命を破る可能性は十分ある。