井上かず子(井上康生の母)

シドニー五輪で金メダルを獲得した井上康生は表彰式で母かず子さんの遺影を高々と掲げた。
シドニー五輪で金メダルを獲得した井上康生は表彰式で母かず子さんの遺影を高々と掲げた。

「見てくれ、これが世界一の母親だ」。シドニー五輪柔道100キロ級オール一本勝ちで優勝した井上康生は表彰式で母の遺影を高々と掲げた。母かず子さんは五輪前年の1999年にくも膜下出血で急死した。51歳。父は怖い柔道の先生。母には何でも相談した。母も康生を見続け、13冊の日記を残した。康生のことだけが書かれていた。上記の名言はその日記に記されていた。康生は母に金メダルを誓った。「一緒にメダルを」と黒帯に黒い糸で母の名前を刺しゅうして臨んだ。表彰台中央、ジャージーの腹の部分を四角く膨らませていた。遺影だった。何かを持っていてはいけないと言われたが、感動を止める理由はなかった。(/_;)

<シドニー五輪・2000年9月22日掲載>