アーチェリーで12年ロンドン五輪男子個人銀メダルの古川高晴(35=近大職員)が、屋外での練習再開を心待ちにしている。

拠点とする近大の施設が新型コロナウイルスの影響で4月上旬に閉鎖し、自宅での基礎練習で調整してきた。6月15日の施設再開に向け、日刊スポーツの取材に「これほど長く屋外練習ができなかったことは初めて。早く撃ちたい」と話した。

東京五輪代表を決める2次選考会をトップ通過した古川は、来年3月の最終選考会(5人)に出場する。成績上位3人になれば代表内定となり、5大会連続五輪出場権を獲得する。最終選考会に出場する選手の中では最年長だが「年齢を重ねても体力や筋力は落ちてない。逆に技術面は伸びている」と不安はない。

五輪が1年延期となったことには「世界的な状況なので仕方ない」と受け止める。外出自粛期間中は練習が満足にできない状況で、当初は焦りもあった。だがコーチや監督から「気持ちを落ち着かせて」とアドバイスを受けた。この言葉が、今できることに全力で取り組もうと気持ちを切り替えるきっかけになった。

現在は矢を放つ動作「素引き」を自宅で欠かさず行い、筋力の維持に努めている。来年の本大会を見据え今後本格的なトレーニングを再開するが「毎日400~450本撃ってきたので、最初から全力でやるとけがのリスクがある」と焦りは禁物と戒める。体力や感覚を徐々に取り戻し、着実に五輪への階段を上るつもりだ。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「We Love Sports」)