約4カ月の休止を経て、ついにJ1が再開した。選手をはじめ、サッカーを愛する全てのファン、サポーターも待ちわびた日。その裏側では、多くの大人たちの奮闘もあった。

熱戦の受け皿となる競技場の管理関係者もその1人。4日に横浜FC-札幌戦が行われた“日本一過密日程”なスタジアム、ニッパツ三ツ沢球技場では、スタッフたちが使用日程の調整などに追われた。

三ツ沢は横浜FCのほか、横浜、YS横浜の3クラブがホームとしており、昨季はJクラブの全54ホームスタジアムの中で唯一、リーグ戦開催数が40試合越えの42試合を数えた。なでしこリーグ2部の横浜FCシーガルズと日体大FIELDSのホームでもあり、同試合数も入れればダントツの数字となる。なでしこリーグも開幕が遅れ、今年は本来なら中断期間の7、8月も実施に。日程調整は困難を極めた。横浜市内の施設利用を管理する横浜サッカー協会の鈴木栄一専務理事は「大変でしたね」と振り返る。

7月はJリーグだけで9試合、8月は、なでしこリーグも含めて同じく9試合が組まれた。三ツ沢はもともと7、8月に予定していた東京五輪の関係で日程を空けており、この2カ月はまだ余裕があった。

大変だったのは9月以降で、J、なでしこに加え、横浜ユース、横浜FCユースが参加する秋以降開始予定の高校年代のプレミア・プリンス合同リーグの日程なども考慮しなければならなくなった。プロであるJリーグを優先的に割り当てる中で、女子2クラブの三ツ沢開催は減少。日体大が1部にいたこともあり、昨年は2クラブ計10試合を三ツ沢で行ったが、今年は未定分を除くと同3試合のみ。例年、数試合を三ツ沢に組み込んできた高校生も状況は厳しいという。誰も責められない未曽有の事態。鈴木専務理事は「女子や高校生は思うようにいかなかった。何かできることがあれば協力してあげたい」と苦しい胸の内を明かした。

今日を皮切りに、また三ツ沢の慌ただしい日常が始まった。年間で未使用期間が2週間とれればよしとされる中で、コロナがもたらした約4カ月の空白は悪いことばかりでもなかった。冬芝から夏芝へ移行する5、6月に使われなかったことで、今年はスムーズに夏芝のみへの張り替えを実現。根が安定し、やわらかな芝となった。三ツ沢公園のグリーンキーパーを担う横松広一郎さんは「いい状態になりました」と話す。シーズン終了まで三ツ沢には、ほぼ3日に1度ペースで訪れる熱狂。「使ってもらうために管理しているので、選手には気持ちよくプレーしてもらいたい」。忙しさも懐かしく感じる。ついにサッカーのある日常が戻ってきた。【松尾幸之介】(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「We Love Sports」)