日本バレーボール協会が、前代未聞の不祥事に揺れている。ビーチバレーの担当役員が選手の診断書の偽造を行ったことが今年9月に明らかになったが、そもそも事案の発生は1年半以上前のこと。今月14日の理事会でようやく第三者委員会を立ち上げることを決めたが、根深い隠蔽(いんぺい)体質が露呈した。

事の発端は、昨年1月の国際大会、男子のワールドツアー。出場予定だったペアが、日本協会にキャンセルの旨を伝えたが、協会は期限内に申請しなかった。同年12月にそのミスが明らかになり、日本の他チームの繰り上がり出場ができなかったことが公表された。これにより同協会の役員3人が懲戒処分された。

それどころか、担当役員は選手や医師に無断で過去に提出された診断書を引用し虚偽のものを作成。診断書提出などがなければ、五輪枠につながるポイントが与えられないなどの選手に対するペナルティーを回避するためだったが、虚偽の書類を国際バレーボール連盟に送付していた。

診断書の偽造は関係者から今年9月に指摘があり、発生から約1年8カ月がたって公表。1年半以上もの間、表面化しなかった。日本協会の嶋岡会長は外部からの指摘を受けて自身も初めて知ったと強調していた。今回の法的な問題点について、上谷さくら弁護士(神田お茶の水法律事務所)は「刑事事件では私文書偽造・同行使罪が考えられます。民事では『誰が損害を負ったのか?』という問題になり、損害が発生していれば不法行為に基づく損害賠償請求が可能です」との認識を示した。

ビーチバレーでは17年6月にも、同じように担当者がエントリー期限を失念して、国際大会の出場を希望する選手が出られない事態が起きている。度重なる不祥事について、あるバレーボール元日本代表選手は「ミスを認めようとせず、自浄作用が働かない協会の体質があるのではないでしょうか」と指摘。ビーチ関係者の1人は「やってしまったことを選手にきちんと説明し、謝罪していればこんなことにならなかった」とあきれ返る。遅きに失した第三者委員会の立ち上げだが、真相解明はもちろん、現場で奮闘する選手、関係者が希望を持てる結論を期待したい。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「We Love Sports」)

嶋岡健治会長=2016年10月
嶋岡健治会長=2016年10月