9月27日からテニスの4大大会、全仏オープンがパリで開幕する。当初、5月開幕予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期となり、今年最後の4大大会となる。そして、日本男子のエースで世界35位の錦織圭(30=日清食品)が復帰する。4大大会は、昨年8月の全米以来の出場だ。今年の全米優勝の大坂なおみ(22)は欠場するが、今度は日本男子が活躍する番だ。大会はWOWOWで連日生放送される。27日の第1日は無料放送される。

錦織復帰! 昨年8月全米以来の4大大会出場

全仏テニス 第6日・男子シングルス3回戦 錦織圭対ラスロ・ジェレ 第3セット、リターンを放つ錦織圭=2019年5月31日
全仏テニス 第6日・男子シングルス3回戦 錦織圭対ラスロ・ジェレ 第3セット、リターンを放つ錦織圭=2019年5月31日

今は「耐えるしかない」と、我慢が続いている。錦織は、昨年8月の全米3回戦で敗れたのを最後に、右ひじのけがでツアーから遠のいた。10月には、右ひじの関節遊離体を除去する内視鏡手術を受け、国内でリハビリ、練習を続けた。当初は今年の3月ごろの復帰を予定していた。

そこに襲ったのが、新型コロナウイルスの感染拡大だ。3月から世界ツアーは中断し、復帰の場を失った。8月の全米前哨戦で復帰を目指したが、自身が新型コロナに感染。全米出場も断念し、9月7日からのジェネラリオープン(オーストリア)で復帰した。

4試合実践消化

復帰後、3大会に出場し4試合を消化。イタリア国際の1回戦で、同44位のラモス(スペイン)を破った1勝だけ。1勝3敗で全仏を迎える。ただ「とにかくいい試合をすることだけ」と、勝敗よりも、プレー内容の向上が現在の目標だ。

できるだけ多くの試合をこなしたい。例年なら、4大大会の前週には、調整を考え、大会には出場しない。しかし、今回は、自身の〝おきて〟を破り、ハンブルクの大会に出場。実戦数をこなすことを優先した。

全仏だと、男子シングルスの試合は5セットになる。加えて、4大大会の中で、1大会だけ最終セットにタイブレークがない。バウンドしてからの球足が遅く、ラリーが続き、もつれるほど試合は長くなる。錦織の体力が、どのぐらい続くかにも注目が集まる。

西岡全精力注ぐ

錦織以外にも、本戦から出場する日本男子は、西岡良仁(24)、杉田祐一(32)、内山靖崇(28)の3人だ。特に、西岡は、復帰に当たり、得意のハードコートを全米1大会だけに絞り、重点を赤土コートの大会に置いた。錦織と同様に、赤土で1勝3敗と、まだ結果が出ていないが、「あくまで本番は全仏」と、赤土最高峰の舞台に、全精力を注ぎ込む。

セリーナ4大大会24勝へ意欲

S・ウィリアムズが5大会ぶり4度目の全仏優勝を狙う(c)GettyImages
S・ウィリアムズが5大会ぶり4度目の全仏優勝を狙う(c)GettyImages

大坂は間に合わなかった。全米前哨戦で痛めた左太ももが回復しないため欠場だ。大坂の欠場で、女子は、昨年覇者で世界1位のバーティ(オーストラリア)、同7位のアンドレースク(カナダ)と、トップ10から3人が出場しない。

しかし、見所は十分だ。S・ウィリアムズ(米国)は、全米準決勝で敗れ、コート(オーストラリア)に並ぶ4大大会歴代最多24度目の優勝を逃した。その偉業に全仏で再挑戦する予定。他のコートに比べ、決して得意とは言えない赤土だが、24勝への意欲は並大抵ではない。

また、18年覇者のハレプ(ルーマニア)も、優勝候補の1人だろう。新型コロナウイルスを懸念し、全米を欠場しただけに、全仏にかける思いは強い。ツアー再開後、8月のプラハオープンで復帰してすぐに優勝。イタリア国際も制し、赤土で2大会連続で優勝し、ツアー再開後、負けなしで全仏に挑む。

大坂を欠く日本女子は、日比野菜緒(25)、土居美咲(29)の2人が本戦から出場だ。来年に延期された東京五輪出場を狙う女子ダブルスの青山修子(32)、柴原瑛菜(22)組が、どこまで勝ち上がれるかにも注目したい。

ATPツアーも配信

WOWOWは全仏オープン(9月27日開幕)後の、世界トップクラスの選手たちが出場する大会をWOWOWメンバーズオンデマンドで配信する。全仏オープン後のATPツアー500サンクトペテルブルク(10月12日開幕)、同250アントワープ(10月19日開幕)、同500ウィーン(10月26日開幕)、同1000マスターズ大会のパリ(11月2日開幕)、ATPファイナルズ(11月15日開幕)を配信。4大大会だけではなく、世界最高峰の戦いを余すところなく伝えていく。