<高校総体:陸上競技>◇6日◇岩手・北上市

 男子やり投げで、九州産(福岡)・田中翔(3年)が初出場初優勝を飾った。決勝でただ1人70メートル台の71メートル13。大会記録にあと2メートル85と迫ったのは5投目だった。「やっと出ました。助走が完璧だったのでリリースの瞬間、これは行くなと思った。本当にうれしい」と喜んだ。

 1投目は初出場の緊張から59メートル49とつまずいた。だが上体だけで投げていることに気づき、下半身を意識して投げ方を修正した。実は昨年の全日本合宿で、09年世界陸上(ベルリン)銅メダリストの村上幸史(31=スズキ浜松AC)から助走や投げ方についてアドバイスを受けた。「やりに力が伝わるようになった」と昨年の自己ベスト66メートル81から記録を大幅に更新し続けている。

 183センチ、80キロの恵まれた体に加え、肩も強い。中学時代は野球部で投手や外野手を務めた。遠投は100メートルを超え、投手としては120~130キロ台の速球を投げたという。「本当は野球をやりたかったけど、今はやり投げをはじめて良かったと思える」。あこがれの村上が持つ高校記録は76メートル54。田中は「これからの目標は高校新です」と“村上超え”を宣言した。【豊本亘】