<高校総体:競泳>◇17日◇岩手・盛岡市

 競泳の男子200メートル個人メドレーで、埼玉栄(埼玉)の瀬戸大也(だいや、2年)が世界レベルの泳ぎを見せた。目標の2分切りこそ逃したが、2位以下を3秒以上引き離す2分0秒09で初優勝。得意の400メートル(19日)に弾みをつけ、来年のロンドン五輪代表入りへ名乗りを上げた。

 スタートのバタフライで飛び出し、2種目目の背泳ぎでもリードを守った瀬戸が、続く平泳ぎで2位以下を引き離した。頭が水面に出る度に、他の選手との差が広がる。最後のフリーでもスピードは落ちず、2分0秒09でゴール。自己ベスト(1分59秒96)に及ばず「ちょっと悔しい」と話したが、金メダルを手にすると「いいスタートが切れました。(19日の)400メートルはしっかりと泳ぎたい」と言って笑顔をみせた。

 今年2月、25メートルプールで争われる短水路日本選手権400メートル個人メドレーで日本新を樹立。4月の代表選考会では堀畑に次ぐ2位に入りながら「力んでしまって」日本水連の定めた派遣標準記録を突破できずに世界選手権(中国・上海)出場を逃した。落ち込んだが、テレビ観戦した世界選手権で堀畑が銅メダルを獲得して闘志が湧いた。「来年(五輪)へ気合が入った」という。

 大会を視察した日本代表の平井ヘッドコーチは「来年は入ってくれると思っている」と代表入りに期待した。「練習も一生懸命やるし、周りに与える影響も大きい。400メートル個人メドレーは世界も意外に伸びていないので、楽しみ」。瀬戸も「目標は堀畑くんだけど(同種目金メダルの)ロクテも意識している」と五輪表彰台を視野に入れた。

 大也の名は、父幹也さん(42)から「也」をもらって、母一美さん(42)がつけた。「ダイヤモンドからじゃないですよ」と照れたが、原石が輝く日も遠くない。現在ペルーで行われている世界ジュニア選手権の選考を辞退し「学校の仲間と一緒に泳ぎたい」と総体にかけた瀬戸。「自分で決めた大会で、しっかり泳ぐだけ」。視線の先には、ロンドンも見えている。【荻島弘一】

 ◆瀬戸大也(せと・だいや)1994年(平6)5月24日、埼玉県生まれ。5歳の時にJSS毛呂山で水泳を始め、個人メドレーのほかにバタフライ、平泳ぎでも活躍。400メートル個人メドレーの短水路日本記録(4分4秒28)のほかに、50メートル平泳ぎの中学記録(28秒57)も持つ。家族は両親と妹。173センチ、63キロ。