<全国高校総体:陸上>◇1日◇大分銀行ドーム◇女子400メートル障害

 伊藤明子(東京・田園調布学園3年)が59秒19で初優勝した。昨年の7種競技女王は、大会初エントリーの種目で足をつりながらも勝利。さらに7種競技の4競技もこなすタフネスぶりを見せた。

 伊藤は最後のハードルを越えると、苦しげな表情を浮かべた。ゴールに近づくにつれ、愛らしい顔がゆがむ。優勝を確認すると、そのまま倒れ込んだ。「(ハードル)4台目ぐらいから足がつってしまって。疲労が蓄積してたんだと思います」。

 この日、すでに3競技をこなして400メートル障害決勝に臨んでいた。昨年優勝した7種競技の100メートル障害、続けて400メートル障害の準決勝、さらに7種競技の走り高跳び。右足ふくらはぎがつった後も、7種競技の砲丸投げと200メートルをこなした。猛暑の中、1日6競技を消化する驚異の体力をみせた。「7種競技に絞ることもできたんですけど、守りに入るみたいで。せっかく400メートル障害の出場資格もあるし大会1週間前に出場を決めた」。

 170センチ、53キロのきゃしゃな体に無尽蔵の体力を備える。30センチ四方のクーラーボックスには体力回復のためのキャラメルやゼリー飲料、アメなどが詰まっているが、1日で消費するという。「食べたら右足も治りました」と、痛めた直後の砲丸投げこそ不満げだったが、最後の200メートルはトップで駆け抜けた。

 7種競技初日は2位。「400メートル障害も勝てたし、7種競技も連覇を狙います」と笑顔で会場を引き揚げた。