<全国高校総体:ソフトボール>◇5日◇神奈川新聞スタジアム

 女子決勝が行われ、神村学園(鹿児島)が4-1で木更津総合(千葉)に勝利、32年ぶり3度目の全国制覇を果たした。

 ラストバッターの一撃が優勝をたぐり寄せた。2回2死満塁の好機で打席には9番岩元瑠音(るね)右翼手(2年)。「大きいのは狙わず、とにかく1点取ろう」。いつもよりバットを1センチ短く持った。内角高めの直球を振り抜くと、打球はレフトの頭上を抜け、走者一掃の3点適時二塁打となった。「今までで一番うれしかった」とベース上で拳を突き上げた。完投勝利の松本吏央(りお)投手(2年)が「助かった。あれで楽に投げられた」と称賛する殊勲打だった。

 1年の秋から1番を任されていたが、不振で今年7月の九州総体でスタメン落ち。大舞台で経験した初めての挫折に「(先発を)外されて焦ったし、心のどこかで『打てない』という気持ちはあった。悔しかった」。基本に立ち返り、全体練習の合間にティー打撃やゴロの捕球練習を繰り返した。

 スタメン復帰は9番となったが、練習が自信になった。大会前には「3年生のためにできることを全てやろう」と腹をくくれた。決勝戦で3安打3打点。「練習でも自分が一番怒られて、練習後に1人で走ったりした。最後で少しでも貢献できて良かった」。ヒロインは満面の笑みを見せた。新チームでは引っ張る立場になる。「来年も一丸となって頑張りたい」。岩元は、またこの場所に戻ってくることを誓った。【岡崎悠利】