オートバイの世界選手権シリーズなどで活躍した中野真矢(32)が28日、都内で引退会見を行った。引退を決意した理由を「首の痛みによってモチベーションが保てなくなったこと」と涙ながらに明かした。中野は今年9月のレースを首に痛み感じ途中欠場し、その後最終戦まで首の痛みが引かず完全欠場していた。「このままではチームに迷惑をかけてしまう」と13年のプロライダー生活にピリオドを打った。

 中野は99年より世界選手権に参戦し、01年から最高峰クラスへと活躍の場を広げると2度の表彰台を経験した。「日本のファンの前で表彰台に立った、04年の日本GPがベストレースだった」と笑顔で振り返った。今季からはスーパーバイク選手権に参戦したが年間総合成績14位に終わり、「力が発揮できず、ファンに応えられなかった」と悔やんだ。

 かつてのライバルたちの死も惜しんだ。03年レース中の事故で死去した加藤大治郎さんや、07年オートバイの交通事故死した阿部典史さんにも触れ、「彼らは憧れだった。引退しても会えないのがさみしい」と話した。

 引退後は「世界で戦ってきた経験を若いライダーに伝えて、モータースポーツ界に貢献したい」。続けて、夢だと前置きした上で「将来は自分のチームも持ってみたい」と目標を明らかにした。昨オフにはオートバイの大型免許を取得した。「スピードを競うサーキットとは、乗り方が全く違って楽しい。地元千葉をのんびりツーリングしたい」と話した。

 また会見では、中野のゼッケン56番の由来となっている漫画「バリバリ伝説」の作者しげの秀一氏からもメッセージが寄せられた。中野は11月1日に開催される鈴鹿サーキットでのレースイベントに参加、ファンに引退を報告するとともにラストライドを披露する予定。