2019年のW杯日本大会を担うキッカーはこの男だ。対抗戦で4連覇中の王者・帝京大が、慶大に大勝した。キッカーを務めるSO松田力也(3年=京都・伏見工高)が、日本代表でキッカーのFB五郎丸歩も取り入れる独自の“ルーティン”で、次々とキックを決めた。対抗戦、大学選手権で連覇を続ける目標の先に、W杯で着る桜のジャージーを目指す。

 ボールをゴールに向かって斜め前向きに置き、後ろに4歩。1度立ち止まり、左に3歩。毎回変わらない。松田は「ポーズとかはないのでみなさんが見ても分からないですが、ルーティンはあります」と少し恥ずかしそうに笑顔で話した。W杯イングランド大会で、五郎丸の独特のポーズが話題を呼んだルーティン。松田は両手で額の汗を拭って手を合わせてから助走に入るのも毎度だが、「それは無意識」のルーティンだ。

 イングランドの名手ウィルキンソンを手本にした五郎丸とは違い、松田のリズムは「やりやすいような方法を探して自然にできた」という。日々の練習後は、毎日必ず個人練習でキックの精度向上に努める。この日は合わせて13本中12本を成功させた。

 日本代表で五郎丸がジョーンズ・ヘッドコーチから課されたキック成功率85%という数字は、世界でもトップクラスの選手が残す数値。同じキッカーとして、「すごく高い数字」と難しさを肌で知る。ただ、国際レベルではそれだけの結果が求められることを明確に知った。今季から「1つのターゲットとして求めていきたい」と、世界基準に挑戦する。

 9月19日の南アフリカ戦は寮のテレビで坂手主将らと観戦し、「興奮してあまり眠れませんでした」と話した。個人的な目標は2019年W杯出場だ。「もっとレベルアップして、W杯につながればいい。(日本代表に)入るために、できることをやっていく」と、4年後を謙虚に見据えた。【岡崎悠利】

 ◆松田力也(まつだ・りきや)1994年(平6)5月3日、京都市生まれ。ポジションはSO。6歳のとき南京都ラグビースクールで始める。京都・伏見工高1年と3年時にFBとして花園出場。高校、U17、U20と日本代表に選出された。181センチ、92キロ。