常葉学園(静岡)が55-56で作新学院(栃木)に逆転負けし、初戦敗退となった。第1クオーター(Q)で22-9と大きくリードするも、第2Q途中から相手守備を切り崩せずに苦闘。最後は試合終了間際に1点のリードを許し、まさかの逆転負けとなった。

 終了まで残り1・9秒だった。相手にシュートを決められ、55-56で初めてリードを許した。篠宮杏奈主将(3年)が、あきらめずにゴール下に切り込み、シュートを放ったが、ボールは無情にもリングの外へと流れた。同時に試合終了のホイッスル。相手ディフェンスの足が引っかかったようにも見えたが、ファウル判定はなし。篠宮は「判定よりも、こういう展開に持っていった私たちが悪かった」と両目を真っ赤に腫らして泣いた。

 試合開始すぐに篠宮の3点シュートで先制すると、リードを広げ第1Q終了時点で13点もリードした。篠宮主将は「あれだけ(点差を)離せたら『いける』という心の余裕があり、足が止まった」と振り返る。決められるはずのシュートが入らず、第2Q途中からはゴール下に人数をかけて守る作新学院ディフェンスを切り崩せなくなった。得意の速攻も何度も不運なファウル判定で止められ、堅守速攻のリズムが狂った。

 県勢女子の初戦敗退は09年の市沼津以来6年ぶり。5年連続16度目出場の常葉学園にとっては05年以来10年ぶりとなる。見崎南美(3年)は「私のところでシュートが決められなかった。悔いが残る試合」と責任感を口にした。前日23日には作新学院の1回戦を視察し、夜には宿舎近くの体育館で最終調整し、対策も練っていた。小前宏史監督(55)は「前夜の練習も良い形で終わっていた。1点差負けは監督の責任。申し訳ない。何としても勝ちたかったが」と唇をかんだ。【藤中栄二】