帝京長岡(新潟)は初戦の大分舞鶴戦に快勝、白星発進した。初戦の硬さこそあったが、実力で圧倒した。PG高橋陸(3年)は5本の3点シュートを決めて大当たり。チームが決めた3点シュート11本の半分近くを決めた。チームの大黒柱、身長203センチのCディアベイト・タヒロウ(2年)が36点を獲得。アウトサイド、インサイドとも強さを披露した。

 PG高橋は、正確無比な3点シュートを決め続けた。美しい弧を描いて、ボールはリングに吸い込まれていく。チームが決めた11本のうち、5本の長距離砲を放り込んだ。「練習で相当、打ってきたので自信を持ってやれた」。絶対的エース、タヒロウの高さがチーム1番の看板だが、“飛び道具”を高橋も、チームも、備え持っていた。

 もともと高橋はシューターだった。ポイントガードに転向したのは高校入学後だ。「自分が点を取るのはうれしいけれど、周りに点を取らせる楽しさを高校で知った」。もちろん、シュート練習は怠りなかった。通常の練習後に1時間ぶっ続けでシューティングしたこともある。朝練習でも始業のベルが鳴るまで20分間、打ってきた。そんな努力が大舞台の初戦に結実した。

 インターハイ4強の帝京長岡だが、立ち上がりは緊張で動きが縛られていた。ディフェンスも甘く「第1Qで(失点)14点以内」(高橋)という目標は達成できなかった。そんな状況で見せたのが攻撃時の3点シュート乱れ打ち。柴田勲監督(46)は「(外からの)シュートは計算も、期待もしていなかった。思ったより入って救われた」と言った。

 東京・荒川区出身の高橋にとって、試合会場の東京体育館は“地元”のコートだった。ミニバスケット時代の仲間や尾久八幡中時代の同僚が応援に駆けつけていた。「友達からLINE(ライン)で『優勝しなかったら新潟から帰ってくるな』という連絡をもらった」。友人たちのきつい励ましを起爆剤に、高橋は高校最後のコートで日本一を狙う。【涌井幹雄】