3連覇を狙う明成(総体1位・宮城)が、苦しみながら4強入りした。第2クオーター(Q)の19点リードを第3Qに同点とされ、第4Qに一時逆転を許したが、慌てることなくSG三上侑希(3年)らが得点。八王子学園八王子(東京)を退けた。

 劣勢でも心にはゆとりがあった。最終Q開始早々、明成は3点を追う展開。エース八村塁(3年)は「焦りはなかった。周りも落ち着いていた」と言ってのけた。「いつも通り冷静でした」と話す三上の3点シュートと、その際の反則で得たフリースロー1本の計4点で67-64と逆転する。その後は王者の実力を発揮。最後は13点差をつけた。

 試合後のミーティング。佐藤久夫コーチ(66)は、第3Qで同点とされた選手の意識を確かめた。「自分たちの流れが来るまで辛抱と、冷静でした」と安堵(あんど)した。勝負どころの嫌な流れに、高校生なら浮足立ってもおかしくないが「鍛えたかいがあった。少し選手が大きくなったのかな」。

 八村は「あういう場面の練習はよくやっていた」と、10点差を5分間で逆転するトレーニングを明かした。連覇した昨年の福岡大大濠との決勝は、最大12点差をつけられる展開から反撃。第4Q残り1分24秒で追いつき、残り34秒3に八村のシュートで勝ち越した。窮地に立たされても、自分を見失わずに力を出し切る。今年もその強みがある。

 3年連続で4強入りした。佐藤コーチは「苦しんで勝ったのは次につながる」と収穫の一戦と強調する。3連覇となれば06~08年の洛南(京都)以来史上3校目(延べ6度目)。偉業への視界が、はっきりと開けてきた。【久野朗】