明成(総体1位・宮城)が、男子では史上3校目(延べ6度目)の3連覇を達成した。3点を追う最終第4クオーター(Q)序盤に、主将の納見悠仁(3年)が3点、2点の連続シュートを沈めて逆転。土浦日大(茨城)を振り切った。明成の優勝は4度目。

 我慢を心に刻んだ明成の5人が、コートに歓喜の輪をつくった。3年連続優勝。99、00年に仙台高を率いて連覇し、通算6度目の日本一となった佐藤久夫コーチ(66)が満面の笑みでたたえ、笑いを誘った。「選手のおかげで、いい思いをさせてもらった。会場のみなさん、バスケットって面白いね」。

 第3Qまで3点差で食らいついた。「春の兆しがあった時に一気に攻める」と、佐藤コーチが独特な表現をした第4Qに試合をひっくり返した。約3カ月前の苦い思いを生かした。納見主将は「崩れず我慢して、(第4Q)の爆発力につなげた」と胸を張った。

 宮城のほぼ単独チームとして出場した今秋の国体決勝。この日の相手、土浦日大が主体の茨城に84-94で敗れた。納見主将は「我慢できずに崩れてしまった」と振り返る。その後は「我慢」が1つのテーマになった。劣勢を想定し、逆転する練習などを何度も積んできた。

 今大会は初出場の同じ宮城の東北が、実力校に2勝して16強入りした。能代工は銅メダルを手にした。佐藤コーチは「東北の粘りを見て、俺たちもやらなきゃねと思ってね。原点にかえらせてくれた。能代工も100%以上の力を出した。手本になった」と明かした。さらに被災地・宮城の人々が我慢を重ねて、復興への道を切り開いている。同コーチは「我々にいい影響を与えている」とも言った。

 夏の全国総体と合わせて高校2冠。我慢のバスケットで三たび冬の頂点に立った。両チーム最多34得点のエース八村塁(3年)は「昨日、能代工の試合を見て、本当に頑張っている彼らを見た。東北勢の力が決勝で生かせたんじゃないかな」と感謝した。周囲の奮闘を、刺激と励みにして偉業を成し遂げた。【久野朗】