男子100メートルバタフライで優勝した藤井拓郎選手(30=コナミスポーツ)がメドレーリレーの代表権をつかみました。代表チームにとっては大きな存在になる選手です。

 北京、ロンドンと2度の五輪に出場してメドレーリレーでメダル2個を獲得しています。選手としての十分な経験と熱い思いのあるムードメーカー。私も現役時代、彼に100メートルの泳ぎ方、特にラスト25メートルの大事さを教えてもらいました。

 藤井選手にはもう1つ、特長があります。各国の選手にやたらと詳しい。この選手はどういう泳ぎ方をするとか、こんな特徴があるとか、水泳オタクなんです。実は野球も詳しくて、プロ野球中継など見ているといろんなネタから技術的なことまで解説してくれます。副音声で流したいくらいです。こんなマニアが1人いると、情報面では心強いですね。

 今日で日本選手権が終わりました。私も前回まで五輪代表選考会に出場していましたが、こんなに大変な大会だったんだな、と客観的に見て思いました。

 初めて五輪に臨む選手に言いたいことは、これからびっくりするようなプレッシャーが来るということ。五輪では1つ1つの結果が日本代表チームに響くことを自覚しなければいけない。私は初めて出場した北京五輪で、自分が緊張していることに気付かないくらい緊張していました。自分の泳ぎもできなかった。

 これからは、五輪経験のある先輩に遠慮せずアドバイスを求めることです。自分たちがこれから競泳の歴史をつくっていくのですから、若手とベテランが一致団結して、すべての選手がリオで輝いてほしい。そう心から願います。(伊藤華英=北京、ロンドン五輪代表)

 ◆伊藤華英(いとう・はなえ)1985年1月18日、埼玉県生まれ。00年日本選手権に15歳で初出場。01年世界選手権で初代表入り。08年北京五輪で背泳ぎ2種目出場、12年ロンドン五輪は自由形リレー2種目出場。12年秋に現役引退。順大大学院博士後期課程。173センチ。