創部4年目の北陸学院(石川)が、県勢初の3位で大会を終えた。今大会の4強で唯一、留学生が不在。しかもベンチ入りは1人をのぞいて石川県出身というメンバーでの快進撃の裏に、浜屋史篤コーチ(28)の独特のバスケットボール観があった。

 石川県出身の浜屋コーチは、高校時代は金沢桜丘でプレー。高3時にはすでに「教員になってバスケを教えたい」と将来を考えていた。「日本で一番バスケを学べるところに行きたい」と、日本バスケットボール協会で代表強化委員などを務める山本明監督の指導する愛知学泉大に進学。13年の北陸学院男子バスケットボール部創部と同時にコーチに就任した。

 浜屋コーチは「留学生を取れないから勝てないというのは嫌だ。いれば高さを強みにできるけど、いなければ他の部分を強みにしていくしかない」と、戦術面の強化を徹底した。練習で多くの時間を割くのが、ディフェンスと実戦形式。特に実戦形式では、何点リードで残り何分など細かい状況を想定する。選手たちにどうプレーするか考えさせ、戦術への理解を深めてもらう。浜屋コーチ自身も、終業後の学校で米大学バスケットの映像を毎日チェック。常に変わっていくトレンドを取り入れ、選手たちに伝えてきた。

 また、チーム最長身192センチの小室悠太郎主将(3年)には、3点シュートを身につけさせ、高さ以外で勝負できるように指導。大倉颯太(2年)の個人技や、高田洸希(3年)の外角シュートなど「役割分担の強さ。相手は的を絞れなかったと思う」とどこからでも点の取れるチーム作りをした。

 この日の3位決定戦では、前半を5点リードされて折り返したが想定内だったという。後半開始直後に「あえて前半出さなかった」という速攻を連発して1分で同点。さらに1分後には5点リードに変わっていた。浜屋コーチも「そんなに速いわけじゃないのに、すごく速く感じたと思う」と効果に胸を張った。「走れるチームだからこそ、走らないという選択肢がある。練習ではめちゃくちゃ走ってます」と準備に裏打ちされた作戦だった。終盤も「残り時間の使い方、ファウルの有効な使い方。少しでも有利になるように意識してきた」と、完璧なゲームコントロールで帝京長岡に付けいる隙を与えなかった。

 浜屋コーチは「日本人がサイズがなくて、世界で戦うためには1%でも勝率を上げる努力を怠ってはいけないと思う。私たちがそういう姿を示していけたら」と言う。体格面での不利をどう補い、抗うか。北陸学院の快挙は、4年後の東京五輪を目指す日本バスケ界に大きなヒントを示している。【山本大地】