サントリーが東芝に48-0で圧勝し、4季ぶりの優勝に王手をかけた。トライランキングでトップに立つWTB中づる隆彰(26)の3トライで突き放すと、組織力を生かし、相手の攻撃を完封。開幕から14連勝とし、勝ち点を65に伸ばした。14日に神戸製鋼との最終戦を残すが、今日8日に同57の2位ヤマハ発動機が近鉄に引き分けか負ければ、最終戦を残してサントリーの優勝が決まる。

 中づるの足が優勝を大きくたぐり寄せた。前半8分、自陣でロック真壁がボールを奪うと、右に展開。タッチ際でボールを受けた中づるが30メートルを走り切り、ゴール右隅に飛び込んだ。それでも「もっと取りたかった」。チャンスを狙い続け、同25分、後半7分にもトライを奪取。試合を一方的な展開に導いた。

 フィジカル強化により、早大時代74キロだった体重は入団4年で82キロになった。だが、武器であるスピードは維持。「多少捕まっても走りきれるようになった」と、得点能力が一気に開花した。ピッチ外でも健康面を意識し、昼食は鶏の胸肉以外は口にしない。外食を避け、持参した弁当を営業車の中で食べるなど、地道な努力を飛躍につなげた。

 開幕戦となった8月26日には長男の歳久君が誕生。当時はメンバー外だったが「格好いい父親になりたい」と逆に気合が入った。試合出場のチャンスを得ると、トライ王も視界に捉える活躍で昨季9位に沈んだチームを引っ張ってきた。試合後、報道陣に囲まれると「とにかく優勝したい」。自身初のリーグ制覇に向け、強い思いをにじませた。

 快足WTBの活躍で、チームは開幕からの連勝を14に伸ばし、ついに優勝に王手をかけた。残るは1試合。流主将は「まだ何もなし遂げていない」と気を引き締め直した。【奥山将志】

 ◆中づる隆彰(なかづる・たかあき)1990年(平2)10月24日、福岡市生まれ。10歳でラグビーを始め、西南学院高時代は高校日本代表。早大に進学し、13年にサントリーに入社。趣味はキャンプ、バーベキュー。身長177センチ、体重82キロ。家族は夫人と1男。