大学ラグビーの歴史を塗り替える。ラグビー全国大学選手権決勝が9日、東京・秩父宮ラグビー場で行われる。

 8連覇が懸かる帝京大と対戦する東海大が8日、神奈川・平塚市の湘南キャンパスで最終調整を行い、フランカーの磯辺裕太主将(4年)が三度目の正直を誓った。

 2年連続同じ顔合わせで、グラウンドには「打倒帝京 あと1日」の文字が掲げられていた。練習前、部員166人とスタッフ全員で円陣を組んだ。磯辺主将の「仲間を信じて自分たちの戦うスタイルを貫こう。ワンチームになって優勝しよう」の声に団結を深めた。

 帝京大には09年度、16年度大会決勝で2度敗れた。今季のチームはFB野口竜司(3年)ら5人が日本代表経験があり、戦力は充実している。史上最強と言われる強固なFW陣とBK陣との連動が「今年の武器」だ。磯辺主将は「ミーティングやグラウンドでも互いに意見を出し合い、昨年よりチームとしては上だと思う。これまでやってきたことをしっかり出せば、勝ち目はある。勝ちます」と誓った。

 磯辺主将は2日の同大との準決勝で右耳を激しく負傷して退場した。「何針縫ったか分からない」と言い、この日もガーゼを耳に当てる痛々しい姿で練習に励んだ。「ここまできて痛いとか言ってられない。(耳が)取れても良い」。

 練習後は高校生の頃から7年間使っているボコボコに傷んだ自転車で寮へ戻った。カゴは曲がってギアも壊れていた。「高校の時から毎日乗っているので、愛着があるんです。ボコボコの自転車ですけど、明日はこの自転車のように体がボロボロになるまで泥臭いラグビーをしたいです」。

 木村季由監督は「今年は今までで一番手応えを感じている。チームのピークを明日に持ってくることができた。あとはこのチームで出来る喜びを感じて、試合後に『やりきった』と思えるようにやってもらいたい」と話した。

 過去2度の先輩たちのリベンジを果たすために、“闘将磯辺”を中心にした東海大が大学ラグビーの歴史を塗り替える決意だ。