フィギュアスケート女子で18年平昌五輪代表の有力候補の宮原知子(19=関大)が2日、大阪・高槻市で行われたアイスショーで、約半年ぶりに公の場での演技を披露した。左股関節の疲労骨折からの復調を示し、浅田真央さんらが使用した「蝶々夫人」をフリー曲に選んだことを明かした。太ももの付け根に炎症が残るため、9月までは回復を最優先。10月から約3カ月で追い込む「超速仕上げ」で、五輪切符を目指す。

 全日本選手権3連覇中の日本のエースが「足が震えた」と苦笑した。緊張の宮原は約500人を前に15~16年シーズンのエキシビション曲「翼をください」を演じた。半年のブランクは3回転ループの着氷乱れなどに表れたが、アンコールも快諾。拍手に包まれ「今までで一番楽しい、という気持ち」が湧いてきた。

 目標は「五輪に行きたい」とぶれない。2月に左股関節の疲労骨折が判明し、3月の世界選手権などを欠場。初めて約1カ月も氷から離れた。現在は全種類の3回転ジャンプを練習するが、太ももの付け根には1カ所の炎症が残る。浜田コーチは「(練習量が)3分の1ぐらい」。周囲は新プログラムを滑り込む時期だが、今日3日にカナダ入りしてショートプログラムの振り付けと後れを取っている。

 それでも炎症の完治を最優先にする。復帰戦は10月のフィンランディア杯。11月から五輪選考に重要なグランプリシリーズを控えるが、浜田コーチは「10月から追い込んでいければ。そこ(炎症)がクリアできれば(五輪が)見えてくる」と言い切った。12月の全日本選手権で優勝すれば、五輪代表に決まる。宮原も「全日本までに調整したい」と焦りを抑える覚悟だ。

 フリーに選んだ「蝶々夫人」。浅田さんらが滑った名曲だが「『宮原知子の蝶々夫人』と言われるようにしたい」。女王の意地が支えとなる。【松本航】