世界9位の錦織圭(27=日清食品)が、まさかの3回戦敗退だ。過去4勝0敗と負けなしだった同19位のロベルト・バウティスタ(スペイン)に4-6、6-7、6-3、3-6で敗れ、佐藤次郎と並ぶ日本男子最多、ウィンブルドン通算14勝目はならなかった。次戦は、31日からのシティオープン(ワシントン)に大会推薦で出場する予定。

 錦織は第3セットを奪い、第4セットもリードしながら、ダブルフォールトでリズムを崩した。大事な場面で、第1サーブが入らないことで自らに重圧をかけた。「今年は大きな自信が生まれてこない」とうなだれた。第3セットから、主導権を奪い返していただけに自滅だった。

 最初の2セットを落としたのが痛かった。プレーは悪くないが、第2セットを終わって8本のブレークポイントを握りながら、1本も取れなかった。「一番ストレスがたまった」と振り返る。相手には、第1セットのブレークポイント2本のうち1本を奪われた。

 その集中力の差が明暗を分けた。バウティスタのプレーは、フォアを中心に非常に良かった。きわどいショットが相手は入り、錦織がアウトになるなど、1センチほどの差の不運さもあった。ただ、それをはね返すだけの気持ちの余裕は、今の錦織にはなかった。

 相手に勝つということだけに集中できない。その課題は、テニスの聖地でも浮き彫りになった。「グラス(芝)でいいプレーができずに終わってしまった」。今年は悪くない組み合わせで上位進出も狙えた。その中での3回戦敗戦。いよいよ正念場を迎えている。【吉松忠弘】