柔道の世界選手権(28日開幕、ブダペスト)男子66キロ級代表の阿部一二三(19=日体大)が7日、都内で行われた大学の壮行式に出席し、日体大伝統の応援「エッサッサ」にやや動揺した。

 柔道場に突然、上半身裸の1年生ら約40人が登場。世界王者を目指す阿部は「エッサッサ」で激励を受けた。「僕自身、生で見るのは初めて。すごい迫力があって元気をもらった。自分の柔道をして、オール一本勝ちで優勝報告が出来れば」と感謝の言葉を述べた。一方で、その力強いパフォーマンスにやや動揺した表情も見せた。

 9日には20歳の誕生日を迎える。高2からシニアの大会に出場し、20歳で世界選手権初出場となる。「『やっと』という感じ。目標の舞台ですが、決して早いとは思っていない。東京五輪に向けての第1歩だし、優勝して良いスタートを切りたい」。記者から「誕生日にほしいものは?」と聞かれると、「昨年までは物欲があったけど、今はない。世界選手権モードです」としたが「金メダルはほしいです」と貪欲な姿勢も見せた。

 式に出席した同大の松浪健四郎理事長は「(92年バロセロナ五輪男子71キロ級金メダルの)古賀(稔彦)に続く選手が出て、うれしく思う。一番高い表彰台に立ってほしい」と激励。柔道部員150人に対しては、日体大が東京五輪・パラリンピックで卒業生含め「選手70人以上の派遣」を目標に掲げているため「世界選手権1人は悲しく思う。レスリングは(卒業生含め)7人出場するため壮行式をやらなかった。柔道もそうならないといけない」と苦言を呈した。