大学、日本代表で手腕を発揮した名将が、Bリーグで指揮を執る。初代王者で連覇を目指す栃木ブレックスの長谷川健志新監督(57)だ。リーグでは今季、18チーム中9チームの指揮官が交代。中でも青学大で20冠、16年に日本代表を五輪世界最終予選に初めて導いた長谷川監督は他チームの監督、選手らからも注目されている。

 「企業チームではなく、10年以上成長し続けているチームだから、私も成長していける」と、複数のオファーの中から栃木を選んだ理由を同監督は説明した。指導のモットーは「自分自身を変えられるのは自分しかいない」。選手たちに自分で考えさせ、成長を促すことでチームのレベルアップを図っていく。「選手はリスクのある判断をしてほしいし、コーチは答えのない決断をするんです」と笑った。

 栃木は優勝した昨季のメンバーからエースの古川らが抜け、大幅に入れ替わった。開幕前には故障者も出て、関東アーリー杯では準決勝敗退。連覇を危ぶむ声もあるが「栃木には田臥を始め、チームのために何をすればいいかを分かっている日本人、外国人が多くいる。熱いサポーターもいる。だから、私が良くなればいいんです」と言う。

 青学大時代に黄金期を築き、Bリーグにも教え子が多数いる。29日の三河戦では、教え子で日本代表の比江島慎、橋本竜馬といきなり対戦する。「楽しみですね。でも活躍されると腹立つな。なめられないようにやりますよ」と、長谷川監督は目を細めながら話した。【桝田朗】

 ◆長谷川健志(はせがわ・けんじ)1960年(昭35)4月7日生まれ、千葉県出身。青学大で主将を務める。ナイキに就職後の89年に青学大監督に就任し、13年までインカレなど20冠。14年から昨年11月まで日本代表監督。14年アジア大会銅メダル。15年アジア選手権4位、16年リオ五輪世界最終予選出場。家族は妻と娘。