世界ランキング11位の日本が、同3位でW杯優勝2回の強豪オーストラリアに30-63で敗れた。序盤から体格と個人技を生かした相手に圧倒され、前半を3-35で折り返した。後半3トライを返す粘りを見せたが、あらためて世界トップとの差を見せつけられる大敗となった。日本は8日からフランス遠征に入り、18日にトンガ(同13位)、25日にフランス(同8位)と対戦する。

 日本が世界の高い壁にはね返された。オーストラリアの体勢を崩しながらボールをつなぐ個人技、1対1の球際の強さに攻守でのみ込まれた。FW8人の平均体重で約3・4キロ、身長でも5・2センチ上回る相手のプレッシャーを受け、試合序盤に反則を連発。前半23分までに反則→ラインアウトの流れから3トライを奪われ、完全に試合を支配された。

 後半にロック姫野のトライなど3トライを返す意地を見せるも、国内テストマッチ史上最多となる4万3621人のファンの前で、大敗。ジョセフ・ヘッドコーチが「規律を守れなかった。あれだけ反則を犯すと厳しい」と判断力の低さを敗因に挙げれば、フランカーのリーチ・マイケル主将も「トップ4との差がはっきり分かった。タックルが(W杯で)ベスト8に入れるレベルではなかった」と唇をかみしめた。

 強化してきた防御面では、収穫もあった。今秋の4連戦前から、相手をより前で止めるため、防御ラインを素早く前進させる新システムを取り入れた。目指すのは、19年W杯で8強に入るための新たな武器。日本人の持ち味であるスピードを生かした「世界一速いディフェンス」(リーチ)を意識し、1対1で仕留めきるための選手間のずれを少しずつ埋めてきた。わずか2週間の準備期間も、27-28で終えた後半には、鋭く突き刺すようなタックルを浴びせ、オーストラリアを後退させる場面も作った。

 次に求められるのは、前後の動きが激しく、運動量の多いその防御を80分間やり抜ける持久力だ。足が止まった前半終了間際には、緩慢になった守備をつかれ、不用意なトライも奪われた。SH田中は「前に出る意識は全員が持てていた。あとは、チームとしていかにハードワークができるか」と自省を込めて言った。トンガ、フランスとテストマッチは続く。実りの秋にするため、課題を埋めながら前に進む。【奥山将志】