女子SPでエース宮原知子(19=関大)が70・72点を記録し、首位発進した。左股関節疲労骨折から復帰2戦目で、2週前の第4戦NHK杯から5・67点伸ばし、復調ぶりを世界にアピールした。坂本花織(17=シスメックス)は69・40点で2位。GPシリーズにおける日本勢のSPワンツーフィニッシュは15年の第3戦中国杯(浅田真央、本郷理華)以来2季ぶり。右足負傷のメドベージェワ(ロシア)がGPファイナルを欠場した場合、2人は繰り上げ進出の可能性を残している。

 浜田コーチの手を握った宮原が、70・72点の表示を見つめて口を開いた。復帰2戦目で届いた大台に「思った以上の点数が出た」と驚いた。冒頭のルッツ-トーループの連続3回転ジャンプは、トーループの着氷が乱れて1・40点の減点。それでもスケーティングなどが対象の演技構成点はトップで、ジャッジの評価をきっちりと受けた。

 ステップと3つのスピンは全てレベル4の最高評価。浜田コーチは門下生に常々「ジャンプは水物、スピンは練習量。努力したらスピンは速くなるし、裏切らない。よく練習している人はできる」と伝えている。宮原は故障からの復帰過程で、ジャンプの本数制限中も地道な練習を怠らずにやってきた。正確なエッジワークや表現力は健在で「やってきたことが評価されている」と自信が芽生えた。

 SPでトップに立ったことで、2年連続3位の大舞台出場も視野に入ってきた。21日にロシア連盟は、トップでGPファイナル出場を決めているメドベージェワの右足中足骨にひびが入っていることを発表。欠場となった場合、今大会で宮原は2位以上に入れば、数字上は繰り上げ進出の可能性を残す。他選手の順位にもよるが、現実的には優勝で22点とし、樋口に続く7番手で今大会を終えることが理想の形になる。

 最終日にはNHK杯で体力不足を実感したフリーを控える。「焦らず、大会ごとにやるべきことをやっていく」。五輪もファイナルの可能性も、目の前の演技に全力を尽くした先にある。

 ◆女子のGPファイナル出場争い 上位5人が決定済みで、日本勢は樋口が24点で6番手。現在11点で今大会に出場しているSP6位ワグナー(米国)か同8位ツルスカヤ(ロシア)が逆転優勝で15点を獲得した場合と、優勝が2人以外で2位にいずれかが入り、シリーズ2戦の総得点で樋口を上回った場合は、日本女子が17季ぶりにファイナル出場を逃す。2人がそろって3位以下(22点以下)の場合、樋口のファイナル出場が決定し、宮原と坂本は優勝(22点)で7番手が確定(順位決定規定による)。右足負傷のメドベージェワが欠場すれば、繰り上げ進出の可能性が出てくる。