シニア1年目ながら全日本選手権で2位に入った坂本花織(17=シスメックス)が、初めての五輪切符をつかんだ。上位6人が集められた一室で代表決定の発表を聞き、リンクに立つと「緊張すると思いますが、自分らしく、勢いのある演技をできればと思います」と初々しくあいさつした。

 前日23日のフリーを終え、4位だった樋口と女子2枠目を争う立場になった。そわそわとしたまま朝を迎え、焦らされる時間が続いた。教え子を初めて五輪に送り出す中野園子コーチは「あの花織がオリンピックですからね。ビックリですよ」と満面の笑み。リンクを出るのは深夜になったため「おいしいものを食べるのは明日(25日)に延ばします」としながらも、大好物の肉でのご褒美を約束した。

 坂本は五輪を目指す有力選手の中で唯一、今大会の予選会を免除されず、今季は9試合をこなした。疲れがたまっているかと思いきや、中野コーチは「(坂本が)有頂天だから、そんな感じはしない」とニッコリ。今後は年明けのアイスショー出演を検討し、4大陸選手権に向かう。家族での視聴が日課だったNHKの連続テレビ小説「てるてる家族」をきっかけに、4歳にスケートを始めた少女がつかんだ五輪。高く、遠くに跳べる自慢のジャンプで、世界にその名を刻む。【松本航】