三男坊の夢は、あっけなく終わりを告げた。

 大阪・寝屋川市で生まれた朝明のSH盛田生(しょう、3年)は、3人兄弟の末っ子。長男の志(こころ)は広島の尾道で、次男の気(ちから)は山梨の日川で花園出場を果たしている。2人の兄と同じように、親元を離れて三重県内で寮生活をしながら夢を追い続けてきた。厳しい練習も、夢が支えとなり、耐えることができた。

 中学時代に股関節を脱臼し、手術を受けた。治療には長い時間がかかり「ずっと入院していました」という。朝明入学後も1、2年と花園切符をつかみながら、出場機会はなかった。最終学年となった今回、第1グラウンドの大分舞鶴戦で、ついに先発をつかんだ。しかし、憧れの舞台での時間はそう長くはなかった。前半20分で負傷交代。倒れたまま、立ち上がることができずピッチを離れた。

 「もっとチームを引っ張っていきたかったです」

 あふれそうになる涙をこらえながら、そう声を絞り出すのがやっとだった。

 次男の気は、大学選手権で4強に進出した大東大のFBとして活躍している。わずか20分で夢舞台が終わった三男坊は来春、関西リーグ王者の天理大に進む予定だ。

 「次の目標は天理大学で日本一になることです」

 新たな夢に向かい、再び歩んでいく。【益子浩一】