大阪桐蔭(大阪第1)が、初の決勝進出を決めた。1トライ差で迎えた試合終了間際。敵陣ラインアウトから、桐蔭学園の63次攻撃(フェーズ)にも及んだ猛攻を執念の守備で封じた。1分間の表示だったロスタイムは8分間にも及び、最後はゴール前1メートルまで攻め込まれた。最後まで勝負の行方が分からない、緊迫した熱戦。終了の笛が響くと、大歓声に包まれた。

 就任12年目、同校OBの綾部正史監督は「最後は目をつぶっていました。選手が倒れる前に、私が倒れそうだった。選手に勝たせてもらった」と興奮した様子で語った。前半8分にスクラムからのサインプレーで先制トライを奪ったFB杉原駿(3年)も「まだ勝った実感がないです。最後は負けるかも知れないと思った」と素直に明かした。

 大阪と奈良をはさむ生駒山の走り込みで、鍛え上げた。練習場は山頂近くにある。荷物だけをバスに積み込んで、急斜面を駆け上がる「山ラン」は、部員を震え上がらせるほど過酷だ。昨春のセンバツを制した野球部も同じ山を走るため、杉原は「走っていると、たまに野球部に会うことがあります」という。坂道を走った後に、すぐ練習があるため、フランカー上山主将は「グラウンドに着くだけで息が上がって、足がパンパンになります」と明かす。その「山ラン」こそが、ロスタイム8分間の攻防でトライを許さないスタミナになった。

 決勝(8日)の相手は東海大仰星。19大会ぶり、戦後2度目となる「大阪決戦」が実現した。綾部監督は「胸を借りたい。我々は初めての経験ですので、日本一にチャレンジしたいと思います」。悲願の初優勝へ、あと1勝に迫った。