東海大仰星(大阪第2)が2大会ぶり5度目の優勝を果たした。大阪桐蔭(大阪第1)との19大会ぶり戦後2度目の大阪勢対決を27-20で制した。前半は10-17とリードされたが、同点で迎えた後半23分にWTB河瀬諒介(3年)がこの日2本目となる決勝トライ。大工大高(現常翔学園)時代に花園を制した元日本代表FWの父泰治氏(摂南大監督)と親子で頂点に立った。5度の優勝は常翔学園など3校と並んで歴代6位。

 20-20の後半23分、左中間のラックから東海大仰星がSH松木が抜け出す。ラック上にいた河瀬は「行かないと」と本能で追った。パスを受け「絶対にトライを取り切る」と相手FBをステップで抜き、雨で湿ったインゴールへダイブ。歓喜の決勝トライが、3年間の歩みだった。

 「仰星のラグビーをやってきたから、あそこでサポートできたと思います」

 前半9分に約80メートル独走で1本目のトライを決めたが、GKを4本続けて失敗した。それでも「河瀬、次やぞ!」の声に奮い立った。試合終了間際、相手の猛攻を受けても15人は次々にタックルを突き刺した。父泰治氏も聞いた日本一のノーサイドが、前回大会決勝でV逸につながるノックオンの残像を上書きした。「自分は自分で優勝すると思ってやってきた」。仲間と最高の笑顔で抱き合った。

 新チーム結成当初、河瀬を含め3年生は心のどこかに「自分たちは強豪だ」という甘い認識があった。花園決勝には2年連続で進んでいた。湯浅監督は「真面目でアホになれない。勘違いして『あれぐらいはいける』という空気があった」と思い返す。昨春、選抜大会の予選リーグで佐賀工に12-22で敗れ、我に返った。6月からの約4カ月は、人工芝への改修工事でグラウンドが使えなかった。9月は近隣の小学校を午後6時から借りたが、広いスペースを使えるのは日没までの30分間に限られた。行き着いたのが、基本の徹底とチームプレーだった。

 湯浅監督は花園期間中も選手に厳しく接した。「『何言うとんねん。見とけよ湯浅』ぐらい言ってほしい」。それでもCTB長田主将は「そういう感情にみんなならない」と首を振った。最後まで「真面目さ」を貫き通してつかんだ優勝に河瀬は「この景色を見られたのは最高です!」。腹の底から発した雄たけびが、チームの葛藤を全て吹き飛ばした。【松本航】

 ◆東海大仰星 1983年(昭58)開校の男女共学の私立校。生徒数は1116人(女子406人)。ラグビー部は84年創部で部員数96人。主なOBは大畑大介(元日本代表)、15年W杯日本代表木津武士(神戸製鋼)ら。他のスポーツも強豪でOBに米大リーグの上原浩治、サッカー元日本代表DF藤春広輝らがいる。所在地は大阪府枚方市桜丘町60の1。揚村洋一郎校長。