日本スポーツ界に、前代未聞の不祥事が起きた。日本カヌー連盟は9日、昨年9月のスプリント日本選手権(石川県小松市)に出場した鈴木康大(32=福島県協会)が、大会中に小松正治(25=愛媛県協会)の飲み物に禁止薬物を混入させ、小松がドーピング検査で陽性となったと発表した。

 意外だが、世界的に見て、カヌー競技のドーピング違反は多い。17年4月に世界反ドーピング機関(WADA)が発表した15年の違反報告書によると、違反数は1929件で85競技に及ぶ。競技別に見ると、夏季五輪競技では、重量挙げの230件が最多で、陸上の176件、自転車の144件が続く。カヌーは19件で、夏季五輪28競技ではハンドボールと並んで12番目の多さだ。そのうちカヤック種目が大半の14件を占める。16年7月に国際カヌー連盟は、組織的なドーピング違反があったとして、ルーマニアとベラルーシを1年間の出場停止にした。また、同時期にWADAがロシアの国家ぐるみのドーピング違反を指摘した中で、陽性反応を示したロシア選手は、夏季五輪競技でカヌーが27件と4番目に多かった。