女子SPで平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)代表の坂本花織(17=シスメックス)が自己ベストの71・34点をマークし、2位につけた。右足の指の間にできたうおのめの激痛を乗り越え、同じく五輪代表の首位宮原知子(19=関大)とは0・40点差。逆転での初優勝を視界に捉えた。昨年優勝の三原舞依(18=シスメックス)は69・84点で3位。明日26日にフリーが行われる。

 いつもの激しい喜びを封印し、得点を見た坂本は小さく右手を握った。フリップ-トーループの連続3回転ジャンプは「跳びすぎた」が、1・30点の加点をゲット。国際スケート連盟公認大会で初の70点超えに「むっちゃうれしいです」とようやく声を弾ませた。

 五輪代表決定後の初戦。「選ばれた限りはミスできない」という緊張感に加え、右足のうおのめが台北で悪化する試練だった。昨年12月の全日本選手権前から痛みがあり、塗り薬に消炎剤、痛み止めを用いたが、中野コーチは「あんまり効かない。右足に体重が乗ったら『キ~ン』とするみたい」。この日は患部にクッションを装着。痛みは和らぎ「五輪でもこれぐらい緊張する。それでもできたのでショートはいけるかな」と日本を代表して五輪を戦う自信を得た。

 ステップでレベル3(最高は4)と取りこぼしながらも出た高得点で、世界のジャッジにも存在感をアピールできた。台北は昨年3月、世界ジュニア選手権の3位でシニア転向を決定づけた地。「10カ月ぶりにここで滑れていいスタートが切れた。本当にここはいい場所です」。目標の3戦連続210点超えの実現と初優勝で「ニッポンの坂本」をさらに発信する。【松本航】