政府は、平昌冬季五輪(ピョンチャンオリンピック)のフィギュアスケート男子で2大会連続の金メダルを獲得した羽生結弦(23)に国民栄誉賞を授与する方針を固めた。

 菅義偉官房長官が2日の記者会見で、安倍晋三首相が授与検討を指示したと発表した。けがを乗り越えて果たした66年ぶりの偉業が、国民に感動や勇気を与えたと評価した。決まればスケート界で初めて、冬季五輪の金メダリストでも初となる。個人としては最年少での受賞となる見通しだ。

 菅氏は「五輪連覇は社会に明るい夢や希望を与え、東日本大震災の復興への力強いメッセージとなった」と強調した。

 政府は首相指示を受けて、有識者の意見を聴取し、正式決定する。授与式の日程は調整する。

 首相は2日の参院予算委員会で平昌五輪に関し「羽生選手の2大会連続金メダルをはじめ13個のメダルを獲得した。今回の盛り上がりを2020年の東京大会につなげていきたい」と述べた。

 羽生は14年ソチ五輪で、フィギュア日本男子初の金メダルを獲得。昨年11月の右足首の負傷を乗り越え、平昌五輪では2月17日のフリーで4度の4回転ジャンプを跳ぶ渾身(こんしん)の演技を披露し、日本勢の大会金メダル第1号となった。海外メディアからも大きな称賛を浴びた。菅氏は会見で「まさに歴史に残る快挙だ」とたたえた。

 4歳でスケートを始め、11年に地元・仙台市のリンクで練習中に東日本大震災が発生。避難生活を余儀なくされた経験もある。

 五輪の金メダリストではレスリング女子の吉田沙保里、伊調馨、柔道の山下泰裕、女子マラソンの高橋尚子両氏に授与されている。

 国民栄誉賞は1977年に創設。スポーツや芸能、文化などの分野で功績を上げた26の個人・団体が受賞している。2月13日には将棋界史上初の「永世七冠」を成し遂げた羽生善治、囲碁で初めて七冠独占を2度果たした井山裕太に贈られた。