新戦力が来季につながるプレーを見せる。Wリーグの新潟アルビレックスBBラビッツは今日10日の最終節、山梨と新潟市鳥屋野総合体育館で対戦する。2月にアーリーエントリー制度で加入し、来季入団が内定しているフォワード(F)中山樹(いつき、22=鹿屋体大)がデビューする。チームは開幕から32連敗で、最下位の12位が決定。最終戦に今季初勝利をかける。重要な一戦で初めてコートに立つ中山がチームを刺激し、起爆剤になる。

 「緊張しています」。中山はWリーグデビューを前にした素直な心境を明かした。その言葉とは裏腹に、プレーに硬さは見られない。練習の5対5やハーフコートでの戦術チェックでは、持ち味の突破力を生かしてゴールに迫る。

 小川忠晴監督(48)は「短い時間でも出す」と山梨戦での起用を明言した。新潟は開幕から32連敗と、リーグの1シーズン最多連敗記録を更新。今季2勝はいずれも新潟相手の白星しかない山梨相手だけに、雪辱とともに、是が非でも初勝利が欲しい。中山はプレッシャーがかかる状況でデビューを迎える。「Wリーグのレベルの中でどこまでできるか楽しみ」と、前向きにプレーすることを意識している。

 2月、入団内定者が入団前に試合出場が可能になるアーリーエントリー制度で新潟に合流した。ただ、昨年12月の全日本大学選手権準々決勝の専大戦で左ふくらはぎを肉離れ。リハビリが続いていた。フルメニューをこなせるようになったのは7日から。ほぼぶっつけ本番。それでも小川監督は「うちにはいないタイプ。ケガがなかったら、もっと早く使った」と評価する。

 鹿屋体大では1年時にU-18日本代表候補に選ばれた。ボールを持って、すぐにトップスピードで攻める速さがある。「自信がある」というジャンプ力は、代表候補合宿で測定し、最高到達点は2メートル80センチ。高い潜在能力が、デビュー戦で表に出る可能性がある。

 苦しいシーズンを目の当たりにした。それでも「ベンチとコート内の一体感がある」と新潟の雰囲気が好きになった。「少しでも貢献したい」。純粋な思いが、初勝利をつかみにいくチームの力になる。【斎藤慎一郎】

 ◆中山樹(なかやま・いつき)1996年(平8)2月19日生まれ、香川県出身。英明高(香川)から鹿屋体大に進み、1年のときにU-18日本代表候補に。昨年の全日本大学選手権は4位。171センチ、58キロ。背番号5。