日本で定着している「シンクロ」の名前が消える。日本水泳連盟は4月1日からシンクロナイズドスイミングの名称を「アーティスティック(芸術的な)スイミング」に変える。国際水泳連盟の決定に伴う対応で、1984年ロサンゼルス五輪で銅メダルを獲得した本間三和子日本水連シンクロ委員長は「長いから『アーティス』を広めようと思っている。新しい気持ちで出発したい」と認知度アップに意欲を見せる。

 五輪では本間氏を最初に、88年ソウル大会の小谷実可子選手や92年バルセロナ大会の奥野史子選手ら日本勢の活躍が脈々と続き、メダル獲得が期待できるスポーツとして関心を集めてきた。

 日本代表を何度も世界の表彰台に導いた井村雅代ヘッドコーチは名称が変わることに「長く付き合ってきているので寂しい思いはある」と胸の内を語った。自身が率いる「井村シンクロクラブ」を「井村アーティスティックスイミングクラブ」とする。「一瞬、何のスポーツか分からなくなるのでは」と懸念しつつ「時代の流れ。乗り遅れるわけにはいかない」と腹をくくった。

 国際オリンピック委員会(IOC)から、ソロや混合種目では「シンクロナイズド(同調した)」の表現がふさわしくないとの指摘を受け、国際水連が昨夏の総会で改称を決めた。既に国際大会は新たな名前で実施されている。

 本間氏によると、ロシアやカナダ、米国は当面、統括団体名として「シンクロナイズドスイミング連盟」を維持し、大会名をアーティスティックとする見込みという。日本は「2020年東京五輪もあるので、早く周知しないと混乱する」(本間氏)と全面的な変更に踏み切った。

 4月27日開幕のジャパン・オープン(東京辰巳国際水泳場)がアーティスティックスイミングとして国内で初めて行われる主要大会となる。日本水連は略称として「アーティスティック」や「AS」を採用するが、長く親しまれてきた「シンクロ」に代わる愛称は見当たらない。「アーティス」が浸透するか注目される。