第10回ヤマハ発動機スポーツ振興財団スポーツチャレンジ賞の表彰式が13日、都内で行われ、聴覚障がい者がプレーするデフバレーボールの女子日本代表・狩野美雪監督(40)が奨励賞を受賞した。

 同賞は日本のスポーツを支える「縁の下の力持ち」の功績をたたえるもので、狩野監督は昨年7月にトルコ・サムスンで開催された第23回夏季デフリンピックでチームを4大会ぶりの金メダルに導いたことが評価された。

 「この賞は私個人ではなく、チームスタッフ、協会関係者、頑張った選手たち、支えてくださった方々のものだと思います。こんなに緊張したのは選手時代を含めて初めて。これからも私自身がより精進していくことで、この賞を輝かせ続けていきたいと思います」。狩野監督は丁寧に言葉を選びながら受賞の喜びを語った。サムスンでは1次リーグから決勝のイタリア戦まで全7試合にすべてストレート勝ちという圧倒的な強さで世界の頂点に返り咲いた。

 08年北京五輪に出場した元日本代表選手。プレミアリーグの強豪・久光製薬の主将も務め、11年春にデンマークリーグでのプレーを最後に引退した。その直後、当時デフ女子日本代表を率いていた東京学芸大の後輩・今井起之氏が33歳で急逝したのを受けて、チームを引き継いだ。選手たちとのコミュニケーションに苦心しながら、技術指導をすべて視覚化することで強化を推進。13年のデフリンピック(ブルガリア・ソフィア)で銀メダルを獲得したのに続き、就任6年で目標を達成した。

 すでに21年大会(開催地未定)での連覇を目標に日本代表はスタートを切っている。「デフスポーツの認知度はまだまだ低いです。私の力が少しでも多くの人々に知ってもらうことにつながれば…」。ともに金メダルをつかんだ代表選手たちに囲まれて、狩野監督はデフスポーツの振興にも力を尽くしていく覚悟を明かした。【小堀泰男】