昨年のバドミントン世界選手権女子ダブルス銀メダルで再春館製薬所から岐阜トリッキーパンダースへ移籍する意思を示している福島由紀(24)広田彩花(23)組に対し、拠点熊本県の蒲島郁夫知事が県にとどまるようお願いする手紙を3月に送っていたことが25日、分かった。

 福島は八代市、広田は和水町と熊本県出身。ともに高校卒業後からこれまで熊本を活動拠点とし、県からは20年東京五輪のメダル候補、また震災復興のシンボルとして大きな期待を受けていた。だが、今年2月、今井彰宏前監督が再春館製薬所を退社し、岐阜トリッキーパンダースのスタッフになることが決まると、福島・広田組も追随する形で退社届を提出した。

 熊本県バドミントン協会の関係者によれば、2人の退社の意向を伝え聞いた県知事が自ら筆をとったが、現段階で2人の反応はないという。また、同協会は今井氏にも、福島・広田組を熊本に残すように訴えたが、今井氏は「(移籍を)譲れない」と拒否したという。

 関係者によれば、福島・広田両者の家族や親しい者も2人とは連絡が取れない状態と、不穏な空気が漂う。家族から選手を慰留する声があり、再春館製薬所は4月末まで退社の手続きを保留している状態だが、岐阜トリッキーパンダース女子チームを持つ株式会社サムライジャパンは、ホームページ上で既に2人の加入を発表している。