世界ランキング21位の錦織圭(28=日清食品)が、全仏オープン自身7度目のセンターコートで天敵をフルセットで撃破だ。

 過去3勝2敗で、同51位のブノワ・ペール(フランス)に6-3、2-6、4-6、6-2、6-3のフルセット、2時間59分で勝った。3回戦で同65位のシモン(フランス)と対戦する。シモンとは初対戦。また、錦織がセンターでフランス選手に勝ったのは初めて。

 ペールは、突然のドロップショットや豪打に、ダブルフォールト連発かと思えば、時速200キロを超えるエースと、錦織いわく「トリッキー」なプレーが、センターでさく裂した。

 錦織は、過去2敗した時と同じように、自分のリズムがつかめず。ドロップショットを連発され、第3セットを落とした最後のゲームでは、自分への怒りからか、思わずラケットでネットをたたきそうになった。すんでのところで止めたが、引っかき回され、心は折れる寸前まで追い詰められた。

 加えて、センターの観客は、ペールの芸術のようなドロップショット、豪快なリターンの決定打に、興奮がふくらんでいく。ウエーブで、ペールを後押しするなど、地元の声援が、少ない日本語の「頑張れ」という声をかき消した。

 しかし、錦織は見事に、そこから立ち直った。どんなにかき回されても、冷静に相手の弱点を見極め、相手のフォアに球を集めた。深く配球し、攻めに転じ、見事に逆転を果たした。昨年なら、そのまま押し切られていたかもしれない。心を強く持ち、相手と全観客を跳ね返した。