安倍晋三首相は1日、韓国・平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)のフィギュアスケート男子で2大会連続の金メダルを獲得した羽生結弦(23=ANA)に国民栄誉賞を授与することを決めた。授与式は7月2日に官邸で行う。個人としては最年少の受賞で、スケート界からは初めて。

 羽生は日本スケート連盟を通じて「大変名誉ある賞をいただき、身に余る光栄。この賞が被災地やスケート界にとって明るい光になることを願っている」とのコメントを発表した。

 記者会見で授与を発表した菅義偉官房長官は「世界の歴史に残る快挙を成し遂げ、多くの国民に夢と感動を、社会に明るい希望と勇気を与えた」と理由を説明した。

 羽生は2014年ソチ五輪でフィギュア日本男子初の金メダル。昨年11月に右足首に大けがを負ったが復活し、2月の平昌五輪はフリーで4度の4回転ジャンプを飛ぶ渾身(こんしん)の演技で再び金メダルに輝いた。フィギュア男子の五輪2連覇は66年ぶりの快挙だった。

 4歳でスケートを始め、11年には出身地の仙台市のリンクで練習中に東日本大震災が発生して避難生活を送った経験がある。苦難を乗り越えた偉業が国民に感動を与えたことも評価された。4月22日に仙台市で行われた祝賀パレードでは市民や全国から集まったファンら10万8000人(主催者発表)が沿道を埋め尽くした。

 首相が授与検討を指示したと、菅氏が3月2日に発表していた。

 国民栄誉賞は1977年に創設。これまでに芸能や文化、スポーツなどの分野で功績を上げた26の個人・団体が受賞している。五輪金メダリストでは柔道の山下泰裕氏、陸上マラソンの高橋尚子さん、レスリングの吉田沙保里(至学館大職)伊調馨(ALSOK)両選手に授与されているが、冬季五輪では羽生が初となる。