女子テニスで、穂積絵莉(24=橋本総業)と二宮真琴(24=橋本総業)組が、日本女子ペアとして全仏では02年杉山愛、藤原里華以来、16年ぶりのベスト4に進出した。穂積は、加藤未唯(23=ザイマックス)と組んで17年全豪の同種目4強。二宮は、同年ウィンブルドンでボラコバ(チェコ)とのペアで、やはりベスト4に進んだ。

 女子ダブルスは、日本にとって、4大大会で最も活躍してきた種目である。日本女子初の4大大会優勝は、75年ウィンブルドンでの沢松(現姓吉田)和子、アン・キヨムラ(米国)組の女子ダブルスだった。過去、4大大会で12度も決勝に進んでいるが、その内の10回は杉山愛である。

 個人が作り上げてきた女子ダブルスの歴史と伝統に、日本テニス協会の強化が加わった。13年に、元カナダ・デビス杯監督で、現英国協会のコーチでもあるルイ・カイエ氏を招へいし、ダブルスだけに特化した講義と実戦を、教会の指導者らが学んだ。土橋登志久強化本部長によると「徹底した理論による指導」が特徴だという。

 テニスの定石は、ある程度、漠然とした形で、誰もが把握している。例えば、センターセオリーだ。困った時は、深く真ん中に返球しておけば、そこから角度をつけられないので反撃を防げるというものだ。このような定石などをカイエ氏は、距離と角度を数値化し、コート上にロープを張り、視覚化して分かりやすく指導するという。

 土橋強化本部長によると、それを最初に教え込んだのが二宮だった。ネットとの距離を数10センチ近くすることで、ラケットを出すだけでボレーの角度をつけられるなど、多くのことを試した。もともと子どものころから、二宮はボレーを学んでおり、そこに、この強化が加わった。

 20年東京五輪という大きな目標がある。世界のテニス界は4大大会を頂点としたツアーが基本だが、地元の五輪に対し、土橋強化本部長は「思った以上に、日本選手が五輪を意識し始めている」と感じている。各個人の選手は、それぞれ個人のコーチがいるが、その個人コーチと連係を持ちながら、東京五輪に向け、カイエ氏の教えを伝授していく。