バスケットボール男子世界ランク2位の強豪スペインリーグで、唯一の日本人選手としてプレーする木下勲(24)が9日、東京・渋谷で同国2部のTAUカステリョと契約を結び、会見を開いた。木下は「2部リーグと言っても、レベルは高い。でも、開幕スタメンを目指したい」などと抱負を語った。

 この日、スペインからはTAUカステリョのルイス・ガルシア社長、アントニオ副社長、スカウトエージエントのホセ氏が直々に来日するなど、木下への期待感の大きさがうかがえた。ガルシア社長は、木下がスペインで3季、プレーして5部からはい上がってきた実績に加え、スペイン語もこの日の会見で通訳を行えるレベルであることを高く評価。「言葉の壁の部分は、問題がない。スピードを重視しているチームなので、5対5の中で彼のスピードを生かせればいい」と期待した。

 また同社長は、スペインリーグ1部「リーガACB」が、欧州バスケットボールリーグ連合(ULEB)主催のヨーロッパ最高峰の公式戦「ユーロリーグ」で優勝を狙えるクラブもある、欧州でも屈指のリーグだと説明。その上で「スペイン1部に関しては、ユーロリーグに出場し優勝するレベルのクラブもある。努力次第だが、彼が、そこにたどり着けることを確信している」と木下を高く評価した。

 今後について、木下は「まず、スタメンで出ることが1番。代表が東京オリンピック(を戦っていること)だったり、NBAに行くとかありますけれど、まず、TAUカステリョで、どこまで出来るかを勝負している。その先に、それがあるわけで、今すぐ野望を実現させるという意味ではなくて、今の挑戦をどこまでやれるか…今後については考えていません」と語った。

 木下は13年1月にNBL合同トライアウトに参加し、和歌山トライアンズと契約。日本のトップリーグとして初の現役大学生選手となった。翌14年に渡米し、トライアウトを受け続け、米独立リーグABAのバーミンガム・ブリッツに入団。15年には単身、スペインに渡り、今回のチャンスをつかんだ。

 木下は契約書にサインした後、着ていた浴衣を脱いでユニホーム姿を披露した。背番号は14だったが、まだ正式な番号は決まっていないという。木下は「本当の背番号は…スペインに来てくれたら、お知らせします」と集まった取材陣にアピールした。【村上幸将】