大橋悠依(22=イトマン東進)が2分8秒16で優勝した。400メートル個人メドレーに続く2つ目の金メダル。7月から苦手だった陸上トレーニングにも着手するなど持久力を高め、昨夏の世界選手権では成し遂げられなかった2種目での表彰台だけでなく、頂点にも立った。寺村美穂(23=セントラルスポーツ)も2分9秒86で銅メダルだった。

 最初のバタフライから先頭は1度も譲らなかった。タイムも自身が持つ日本記録に0秒25と迫り、個人メドレー2冠を達成。「素直にうれしい。タイムも納得できた」と格の違いを見せた。女王ホッスー(ハンガリー)は今大会不在だが、その勝ち癖が2年後の頂点につながる。「東京オリンピックを見据え、ここで金メダルを取ることが必要だと思っていた」と充実感が漂った。

 東洋大を卒業して、今春から社会人スイマーになった。初任給では父の忍さんにカードケースを、母の加奈枝さんにバッグをプレゼント。「いつもありがとう」というメッセージカードを添えた。大学2年まで貧血やけがに悩まされ、活躍できなかった。日本選手権で最下位の40位に沈んだのはわずか3年前のことだ。

 7月のスペイン高地では苦手な陸上トレーニングにも励んだ。昨年夏まで膝の痛みがあってできなかったが、解禁。「400メートルトラックを4周ですが、毎日走ってました。苦しくて『心臓が飛び出るんじゃないか』と思った」と苦笑いする。帰国後は時差ぼけでコンディションが上がらず、忍さんに電話で「眠い、眠い」とこぼしたが、大会が始まれば、女子主将としてチームをけん引。平井コーチも「大きく育てたい。キャパシティーが大きい子なので」とまだ今後の伸びしろに期待した。

 女子400メートル個人メドレーに続き、これで2つ目の金メダル。昨夏の世界選手権は200メートル個人メドレーは銀も本職の400メートル個人メドレーは4位で涙した。2種目での頂点。その勝負強さは1年の確かな成長の跡だった。【上田悠太】