日本バドミントン協会が10日、都内で理事会を開き、再春館製薬所の今井彰宏元監督(48)に対し、恐喝と金銭不正行為により、会員登録を認めない処分を下した。今井氏は現在、日本協会への会員登録がなされていない状態。また、再春館製薬所元コーチの吉冨桂子氏(43)にも恐喝により会員登録の無期限抹消が決まった。この処分を受け、日本協会に今井、吉冨両氏の不正行為を告発した再春館製薬所関係者が告発の詳細な内容を日刊スポーツに明かした。

再春館製薬所の調査によれば、12年から16年にかけて約1300万円の不正が認められた。今井氏は5月15日、弁護士を通じ、「自分の利益のために集めたものではありません」と不正行為を否定している。だが、不正が社内で発覚した16年末に今井氏は手書きの反省文を提出。その中で「いつかばれると思いながらお金を簡単に考えていた」と不正を認めている。また同時に「気が楽になった」とも漏らしていたという。関係者は「今になり、なぜ違うことを言うのか」と不快感を示した。

そもそも今回の金銭不正および恐喝問題は、社内でおさめていた話だった。今井氏は15年4月の部発足と同時に監督に就任。前身のルネサス時代から指導力に定評があり、関係者は「信頼しきっていました」と振り返る。だが、16年11月、選手と恋愛関係になった元スタッフに対し、吉冨コーチとともに「バイト代の40万を返せ。けじめをつけろ」などと恐喝していたことが発覚。その後の社内調査で金銭の不正も明らかになった。

「本来なら解雇とするところですが、選手、スタッフ、選手の家族らの強い慰留がありました」。社は17年1月に今井氏を監督から解任。別部署で研修させた後に、同8月に現場に復帰させた。だが、今年2月に退社。続けてスタッフや女子ダブルスの福島、広田組ら有力選手も退社し、岐阜へと移った。関係者はこうした状況への不満も「ないことはない」と認めた上で、「東京オリンピックに向け、バドミントン界が盛り上がりつつある中、選手や関わる人たちが安心して競技に取り組み、健全に発展していってほしい」と告発の理由を語った。