日本ボクシング連盟の山根明前会長(78)体制下での疑惑に関する告発状が提出され、日本オリンピック委員会(JOC)などの要請で設置された第三者委員会が28日、都内で調査結果を報告した。12項目中、可能性も含め9項目が事実の可能性があると結論づけられた。

「山根判定」とされた不可解判定については、各都道県連盟にアンケートを実施。33件の回答が得られ、10件弱の事実報告があった。特定の集団に対する優遇が見られ、不利益な判定をした審判への罵倒などの目撃証言も寄せられた。委員の板橋弁護士は「自主性が阻害されたケースはあった。接戦の時に特定の集団を勝ちにするなど」と説明。08年以降の全国大会の成績を調査すると、特定の集団の好成績も認められた。

一方で不正経理疑惑は、刑事責任に至る証拠はなかった。試合用グローブ等で、前会長が関連する会社に独占販売させ、利益を中抜きした疑いは、親族の口座が振込先に使われた時期はあり、12年に残額が560万円だったと確認したが、不正取得とまでは認定できないとした。

山根氏にも聞き取りした梶谷弁護士は「ボクシング愛ではなく、気に入った選手、団体への偏愛。1人の問題ではなく、言えない周囲にも問題があった」と組織の機能不全を指摘した。