10年バンクーバーオリンピック(五輪)銅メダルの高橋大輔(32=関大KFSC)が、4年ぶりの復帰戦を3位で終えた。

ショートプログラム(SP)で首位発進し、この日のフリーは2度のジャンプ転倒などミスが続いて118・54点の4位と伸び悩んだ。それでも合計195・82点の3位で西日本選手権(11月1日開幕、名古屋市ガイシプラザ)への出場権を獲得。4回転ジャンプ導入にも意欲を見せ、目標の全日本選手権(12月、大阪)最終組入りへ突き進む。

復帰戦で表彰台に立った高橋に、満足感はなかった。「最低ですね。今まで練習でもここまでボロボロなことはなかった。悔しいっていうより、今の自分の実力だと実感しました」。4分間のフリー。冒頭のフリップ-トーループの連続3回転ジャンプ成功後に、本当の苦しさを味わった。

6分間練習では決めていたトリプルアクセル(3回転半)で2度転倒。ジャンプは回転不足が重なり、スピンも精彩を欠く。「このままじゃ、本当にやばい」と頭をかいた。それでも復活への道筋は示した。ジャンプやスピンのミスが響き、技術点は39・52点。要素が5つも少ないSPからわずか1・81点を上乗せしただけだ。表彰台の要因はスケート技術や、音楽の解釈などが評価される演技構成点。10人中トップの81・02点は、2番手の友野を7・86点も上回った。

14年ソチ五輪までは右膝に不安を抱え、長光歌子コーチは「こちらが(気持ちを)引っ張るのに苦労した」。だが、今は「セーブしないといけないのに、逆にもっと見たくて、やらせちゃうほど」という。

定評ある表現は、歌舞伎と融合した氷上のショーに出演するなど現役ではできない経験を経て、4年前と違った味を出している。「この演技では西日本も通過できるか…。4回転も含めてやっていきます」。3回転の質向上だけでなく、見据える4回転サルコーやフリップ。新たな可能性を求め、32歳の足が止まることはない。【松本航】

◆高橋の全日本選手権への道 今大会は西日本選手権への通過枠が13。出場10人だったためSP、フリーを滑り終えた時点で全員が進出を決めた。西日本選手権での全日本選手権への通過枠は13。17年全日本選手権3位以内の宇野昌磨、田中刑事はシードされており、前後に国際大会が重なる友野一希、山本草太を除く上位11人が12月の日本最高峰の舞台に立つ。