全米覇者で世界4位で初出場の大坂なおみ(21=日清食品)が、フルセットで敗れた。ウィンブルドン覇者で同2位のアンゲリク・ケルバー(ドイツ)に4-6、7-5、4-6で敗れ、1次リーグA組で0勝2敗となった。26日に行われる予定の同9位のキキ・ベルテンス(オランダ)との1次リーグ最終戦に、1勝の望みをかける。

この日も大坂が勝てる試合を落とした。ブレークポイントを相手の倍の18回も握りながら、ものにできたのはたったの5回。チャンスのたびに、凡ミスを繰り返し、自ら勝利を逃した。コート上で何度も天を仰ぐが、勝利の神は降りてはこなかった。

最終セット、相手はサーブに苦しみ、第2サーブは入れるだけ。それに対し、大坂は一発で仕留める攻撃を展開するがほとんどがミス。それでも安全なリターンを選ばないため、ミスは最後まで止まらなかった。

第1セットを落とし、第2セットも4-5で相手のサーブ。絶体絶命のピンチから逆転し、何とか最終セットにつなげた。間違いなく、流れは大坂に傾いた。しかし、最終セット3オール。自分のサーブで40-15。4-3にできるポイントを2本連続で持ちながら、簡単に落とした。

40-15から、決めれば終わるスマッシュを取られ、ロブの返球にあたふた。フォアかバックか、どっちで打つか迷い返球をミス。続くポイントはダブルフォールトと、完全にリードしている心のスキを突かれた形だ。

我慢が大事と分かりながら、我慢できない精神力。ミスのたびにコート上で子どものように振る舞う態度。テニスの技術や作戦の前に、4大大会を勝った選手としては、あまりにも稚拙なことが多い。トップ選手との戦いの中で大坂が、それをどれだけ学ぶかにも、次戦の勝利はかかっている。【吉松忠弘】