【ヘルシンキ=高場泉穂】SP7位と出遅れた坂本花織(18=シスメックス)が、フリーで140・16点、合計197・42点で3位に入り、6戦の上位6人が進むGPファイナル(12月、カナダ・バンクーバー)初出場に望みをつないだ。

SP2位の白岩優奈(16=関大KFSC)は4位、本郷理華(22=中京大)は10位。平昌オリンピック(五輪)金メダルでSP首位のアリーナ・ザギトワ(16=ロシア)が合計215・29点で優勝した。

坂本は、2度転倒したSPのミスを引きずらなかった。前夜、フリーを振り付けしてくれたブノワ氏からメッセージが届いていた。「200%で滑れば表彰台に乗れる」。その励ましの言葉と練習を信じ「力を出し切るしかない」と強い気持ちでリンクに立った。

それでも、演技の前は「全身がガクガク」した。最初の大技フリップ-トーループの連続3回転ジャンプを高々と決めると「5%ぐらい、ほっとした」。さらに後半、2回転半からの3連続ジャンプも決め、終盤のコレオシークエンスで倒れそうになるも「意地で耐えました」。最後の3回転ループまで滑りきると、両拳を強く握りしめて、ほえた。言葉をくれたブノワ氏は子供が産まれたばかり。会心の演技でお礼とお祝いを送り返した。

今季は9月のロンバルディア杯に始まり5戦目。しかも10月半ばのGPスケートアメリカ、全兵庫選手権をへてここまで3連戦。それでも「疲れはないです」。裏には、多忙なスケジュールの中のリフレッシュがあった。全兵庫選手権のSPを夜に控えた10月27日、朝の練習を終えるとすぐに高校に向かい、文化祭に参加。クラスで出すワッフルの店で、数時間呼び込み係を担当した。「それしかできなかったんですけれど楽しかったです ! 」。そのまま試合に直行し、元気に演技した。

その後も移動をのぞき、ほぼ毎日フリーを通してきた。「ちゃんとやればできるという自信があった。その自信にのって、今日はやれた」。積み重ねた練習量も演技を支えた。

初のGPファイナルの進出は残る3戦の結果次第となり「時が過ぎるのを待ちます」。それまで「今回失敗したところを練習したい」と休まず磨きをかける。