16年リオデジャネイロ五輪女子ダブルス金メダリスト高橋礼華(28)の妹の高橋沙也加(26=ともに日本ユニシス)が大堀彩(22=トナミ運輸)を2-1で下し、初の4強入りを果たした。15年に右膝靱帯(じんたい)を損傷し、リハビリを経て復活。東京五輪への「ラストチャンス」と臨んだ大会で、初のA代表入りへ前進した。

スコアシートへの勝利者のサインを忘れるほど、高橋は没頭していた。同じ左利きの大堀に「何が何でも勝ちたかった」。最終ゲームで相手の疲れを察して「最初からスピードを上げた」。4点先取し、リードを保って勝つと両腕を天に突き上げた。B代表の高橋にとってこの一戦は4枠の来季A代表入り、東京五輪出場へ近づくための「ヤマ場」。「もう若くない。五輪に出るためのラストチャンスのつもりだった」。思いをぶつけた。

五輪金メダリストの姉礼華が「私よりバドミントンセンスがある。世界でトップ3に入るんじゃないかというぐらいのカット(スマッシュと同フォームから落とすショット)を持っている」と認める逸材。その一方で、劣勢になるとミスを連発する精神面の弱さがあった。昨年の全日本での2回戦敗退を機に「一からがむしゃらにやろうと思った」。日本ユニシスの小宮山監督とともに意識改革に着手。普段の練習の走りこみや、筋力トレーニングで少しでも数値を上げるよう努力し、メンタル面でもミスの後も集中する術を1年間磨いてきた。小宮山監督は「きょうはこの4、5年で一番いい試合だった」と成長をたたえた。

姉の存在に助けられてきた。15年10月、試合中に右膝靱帯(じんたい)を部分断裂。五輪を逃して、引退も頭をよぎったが、姉の金メダルを手に持たせてもらい、再び五輪への思いが膨らんだ。A代表落ちした今年も、「自分らしくバドミントンやればいいんじゃない?」の言葉を力に、国際大会で勝利を重ね、世界ランク11位まで上がってきた。

女子シングルスで東京五輪に出られるのは最大2人。格上の「山口選手、奥原選手に追いつけるように頑張りたい」。姉妹五輪の夢に向け、準決勝で女王山口に挑戦する。